2026年9月27日、ロサンゼルスで開かれたMTVビデオ・ミュージック・アワード(VMA)で、テイラー・スウィフトさんの手元に注目が集まりました。舞台上の写真で、ダイヤが並ぶ結婚指輪が、婚約指輪に沿うように重ねて着けられていたことが分かったからです。
その婚約指輪の石は、オールドマインカットと報じられています。18〜19世紀に主流だった、古いカットです。
古いカットのダイヤは、今のダイヤと比べてどう評価されるのでしょうか。光り方が違って見えるのは、品質が劣るからなのでしょうか。カットの特徴と、評価の物差しの違いから、専門家の視点で整理します。
参考記事
25ans「テイラー・スウィフトの結婚指輪、ついに全貌が明らかに! 予想外のディテールが判明」
25ans:https://www.25ans.jp/wedding/celeb/a74021268/taylor-swift-wedding-ring-pics-vmas-261005-lift/
授賞式の写真で見えた、重ね着けの2本の指輪
スウィフトさんは2026年7月3日にトラヴィス・ケルシーさんと結婚しました。PEOPLEによると、VMAでは、結婚指輪がキンドレッド・ルーベックさんの手がけたオールドマインカットの婚約指輪にぴったり沿う形で着けられていました。
25ans(Cosmopolitanの抄訳)は、以前の写真では一見シンプルなゴールドの指輪に見えた結婚指輪に、実際にはダイヤが並んでいたと伝えています。Harper’s BAZAARは、VMAの舞台写真を、この重ね着けを最も鮮明に見られた機会と書いています。
婚約指輪のカットについては、GIA(米国宝石学会)も、2025年9月に公開したオールドマインカットの解説記事の冒頭で、スウィフトさんの婚約指輪を「オールドマインカットとみられる」と紹介しています。ただし、本人やジュエラーによる公式な発表は確認できていません。
オールドマインカットとは、どんなカットか
GIAの解説によると、オールドマインカットは18世紀初めから19世紀後半にかけて最も一般的だったカットです。ジョージア朝(1714〜1837年)やヴィクトリア朝(1837〜1901年)のジュエリーに多く見られます。
現代のラウンドブリリアントカットと同じく58の面を持ちますが、形と比率が違います。GIAが挙げている特徴は次のとおりです。
| 見るところ | オールドマインカットの特徴 |
|---|---|
| 形 | 角の丸い、柔らかな四角形 |
| 上面の平らな面(テーブル) | 小さい |
| 底の小さな面(キュレット) | 大きい |
| 上部(クラウン) | 高い |
| 外周(ガードル) | 部分的にとても薄いことが多い |
| 作り方 | 目で測り、手作業で形づくる。寸法は一石ごとに違う |
当時の職人は、ダイヤの原石が持つ八面体の形に沿って石を削っていました。そのため、同じオールドマインカットでも、一つとして同じ寸法の石はありません。
光り方にも違いがあります。GIAは、現代のラウンドブリリアントに比べて、白い輝き(ブリリアンス)は控えめで、虹色の光(ファイア)が多い傾向があると説明しています。
なぜ今のダイヤと同じ物差しで測れないのか
ダイヤのカットの評価でよく知られているのが、GIAのカットグレードです。Excellent(エクセレント)からPoor(プア)までの5段階で、カットの仕上がりを総合的に評価します。
ただし、GIAによると、このカットグレードの対象は標準的なラウンドブリリアントです。四角みのあるオールドマインカットは、もともとこの物差しの外にあります。
これは「評価が低い」という意味ではありません。物差しが違う、ということです。
今のラウンドブリリアントの理想的な比率と比べれば、オールドマインカットの小さなテーブルや大きなキュレットは「理想から外れている」ように見えます。白い輝きが控えめなことも、短所に見えるかもしれません。しかしGIAは、それをこのカットの光り方として説明しています。面が大きいため、スポットライトの下では色の強いきらめきが出るとしています。
そのため、古いカットの石を見るときは、次のような点を確かめていくことになります。
- 色(カラー)・透明度(クラリティ)・重さ(カラット)
- そのカットとしての形と面の仕上がり
- 薄いガードルの欠けなど、長い年月で生じた状態
- 当時に作られた石か、近年に作られた再現か
最後の点は、名前だけでは分かりません。GIAは、オールドマインカットの人気を受けて、現代の職人が同じスタイルの石を作っていると説明しています。現代に作られたものは、ガードルが厚く、対称性もそろいやすいとされています。「オールドマインカット」と呼ばれていても、それが当時の石なのか、現代の再現なのかは、実物を見て確かめる必要があります。
専門家の視点で読み解くと
古いカットの石を、今のラウンドブリリアントの理想にどれだけ近いかで測ると、そのカットの特徴まで欠点として数えてしまいます。まず、どのカットとして作られた石かを見極める。そのうえで、そのカットとしてどう仕上がり、どんな状態で残っているかを確かめる。評価は、どの物差しを当てるかを決めるところから始まります。
手元の古いダイヤも、同じ考え方で見る
祖母や母から受け継いだ指輪の石が、今の宝飾店に並ぶダイヤと比べて、輝き方が違って見えることがあります。そのとき、「古いから質が落ちる」と決めてしまう必要はありません。カットの違いが、光り方の違いとして表れている可能性があります。
ただし、スウィフトさんの指輪と手元の指輪では、条件が違います。スウィフトさんの婚約指輪は報道写真でしか見られず、カットもGIAが「とみられる」とした段階です。一方、手元の指輪は実物を手に取って確かめられます。
GIAは、オールドマインカットを見るときは、明かりを変えて見ることを勧めています。光源によって見え方が変わるためです。また、薄いガードルは欠けやすいとしています。手元の石を見るときも、どの明かりの下で見ているか、外周に欠けがないかは、確かめておきたいポイントです。
オールドマインカットについて、よくある疑問
Q. オールドマインカットは、今のカットより価値が低いのですか?
一律に低いとは言えません。GIAの5段階のカットグレードは標準的なラウンドブリリアントが対象で、オールドマインカットはその物差しでは測りません。色・透明度・重さに加え、そのカットとしての作りと状態を合わせて見ることになります。
Q. 鑑定書のない古いダイヤの指輪でも、評価できますか?
SHINKAでは、鑑定書・鑑別書がなくても、実物を確認して査定できます。なお、GIAのダイヤモンド グレーディング レポートは、枠から外した石が対象です。指輪に留まったままの石は、そのままでは発行の対象になりません。
SHINKAについて
SHINKAは、宝石買取に特化した専門店です。古いジュエリーや、鑑別書・鑑定書のない品物も査定・買取できます。
査定では、宝石だけでなく、貴金属や作り、状態も含めて、ジュエリー全体を確認します。原則としてお客様の目の前で査定し、どこを見てその評価になったのかをご説明します。
受け継いだ古いダイヤの指輪がどう評価されるのか、まずは価値をご確認ください。
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この記事は公開前にGIA G.G.資格保有者が確認しています。

