2026.10.07

金は約3.5グラムで約354万円 15世紀の指輪から考える、古い指輪の値段は重さのほかに何で決まるのか GIA G.G.資格保有者の視点で

濃いグレーの背景の前で、真鍮の小さな天秤の皿に細い金の指輪が一つ載っている

英国の畑で金属探知機の愛好家が見つけた15世紀の金の指輪が、2026年9月22日のオークションで約354万円で落札されました。オークションハウスの説明によると、指輪の重さは約3.5グラムです。

金の重さだけで考えると、この金額にはなりません。では、古い指輪の値段は、重さのほかに何で決まるのでしょうか。素材で説明できる範囲と、それ以外に評価に関わる要素を、GIA G.G.資格保有者の視点で整理します。

参考記事
ARTnews JAPAN「金属探知機愛好家が見つけた「キリストの血」指輪が354万円で落札。発見者はイタリア周遊旅行へ」
ARTnews JAPAN:https://artnewsjapan.com/article/88862

予想の2倍以上で落札された、15世紀の金の指輪

ARTnews JAPANによると、指輪は2024年、ノースヨークシャーのノーサラートン近郊の畑で見つかりました。キリストの血をエナメル(ガラス質の釉薬)で表した装飾がある指輪で、ロンドンのオークションハウス、ヌーナンズ・メイフェアに出品されました。予想落札価格は約104万〜146万円でしたが、約354万円で落札されています。

発見者は「最初は安価なアクセサリーだと思った」と話しています。

※円換算はARTnews JAPANの表記によります。

金の重さで説明できるのは、ごく一部

ライトグレーの台の上に、細い金の指輪と、少量の金の粒が並んで置かれている

まず、素材の金だけでどこまで説明できるかを見てみます。

この指輪の金の純度は公表されていません。そこで、仮に指輪全体が純金だったとして計算します。三菱マテリアルが2026年10月7日に公表した金の買取価格は、1グラムあたり23,125円(税込)でした。3.5グラムでは約8万円です。

実際の金の割合が純金より低ければ、素材の金額はさらに小さくなります。つまり約8万円は、素材として考えられる金額の上限の目安です。

落札額の約354万円は、その40倍以上にあたります。注目したいのは、オークションハウスが付けた予想価格の段階で、すでに素材の上限を大きく上回っていたことです。この指輪は、出品の時点から金の量では評価されていなかったことになります。

※記載の金価格は三菱マテリアルが2026年10月7日10時に公表した店頭買取価格(税込)です。SHINKAの買取価格を示すものではありません。金価格は日々変動します。

重さのほかに、この指輪について分かっていること

使い込まれた細い金の指輪の表面を接写した写真。細かな擦り傷とわずかなへこみがある

素材で説明できない部分には、何が関わるのでしょうか。オークションハウスの説明を引用した専門メディアMedievalists.netの記述から、この指輪について報じられている特徴を、この記事では4つに分けて整理します。

見る観点この指輪について報じられていること
年代1400〜1500年ごろのものとされている
作り青いエナメルの地に、赤いエナメルのしずくを描いた装飾がある。内側には「a vous ceruil uieil obeir」という銘文が刻まれ、ヌーナンズは「あなたに仕え、従いたい」という意味の英語に訳している
状態赤いしずくはもともと41粒あったが、残っているのは12粒
記録発見の場所と経緯が記録されている

古い指輪では、こうした「その個体に残っているもの」が評価の材料になります。同じ年代の指輪でも、装飾がどれだけ残っているか、作りがどこまで確かめられるかで見え方は変わります。

ただし、この4つのうち、どれがどれだけ落札額に効いたのかは、報道からは分かりません。予想を上回った金額には、当日の入札の状況も関わります。報じられている情報だけで、落札額の内訳を説明することはできません。

GIA G.G.資格保有者の視点で読み解くと

素材の重さから出せるのは、評価の一部にすぎません。一方で、古いという事実だけで評価が上がるわけでもありません。年代、作り、状態、記録が、その品物に実際に残っているかを一つずつ確かめる。古い指輪の評価は、その積み重ねです。

手元の古い指輪は、条件が違う

布張りの浅いトレーに並べられた、金とプラチナの古い指輪数点

家に古い指輪があると、「古いものだから価値があるかもしれない」と考えることがあるかもしれません。ただ、今回の指輪と手元の指輪では、条件が大きく違います。

今回の指輪は、発見の記録が残る15世紀の出土品です。一方、手元の指輪が数十年前に作られた品であれば、年代や記録が今回のように評価を左右するとは限りません。その場合に評価の中心になるのは、使われている貴金属、宝石の種類と品質、作り、状態です。

それでも、今回のニュースから持ち帰れる考え方はあります。「重いから高い」「古いから高い」と、一つの特徴だけで価値を決めないことです。素材と、宝石と、作りと、状態を、実物で一つずつ確かめることで、はじめて評価の理由が見えてきます。

古い指輪の価値について、よくある疑問

Q. 古い指輪は、古いだけで価値が高くなりますか?

古さだけでは決まりません。評価には、貴金属や宝石の品質、作り、状態が関わります。年代を評価の材料にするには、作りや記録などからその年代を確かめられることが前提になります。

Q. 鑑別書がない古い指輪でも、価値は分かりますか?

鑑別書がなくても、実物を確認して評価できます。鑑別書が残っていれば、宝石の種類などを確かめる手がかりになります。

SHINKAについて

SHINKAの店内

SHINKAは、宝石買取に特化した専門店です。古いジュエリーや、鑑別書のない品物も査定・買取できます。

査定では、宝石だけでなく、貴金属や作り、状態、鑑別書の内容も含めて、ジュエリー全体を確認します。原則としてお客様の目の前で査定し、何を確認してその評価になったのかをご説明します。査定中のご質問にもお答えします。

お手元の古い指輪がどう評価されるのか、まずは価値をご確認ください。

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この記事は公開前にGIA G.G.資格保有者が確認しています。

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