アウイナイトの石言葉を調べると、多くのページが同じ3つの言葉を挙げています。ところが誕生石のほうを調べ始めると、書いてあることがページごとに食い違います。7月16日、10月27日、10月6日、2月25日、6月16日——少なくとも5通りの日付が見つかります。
先に結論をお伝えします。
石言葉としてよく挙がるのは「高貴」「情熱」「過去との決別」です。ただし、これを定めた公的な機関は確認できません。日本ジュエリー協会が誕生石について解説しているページにも、石言葉の記載はありません。
誕生石のほうには、はっきりした答えがあります。アウイナイトは日本の誕生石ではありません。日本で用いられている誕生石は、1912年にアメリカの宝石業界が定めた種類が元になっており、2021年12月20日の改訂を経て全29種になりました。その一覧にアウイナイトは入っていません。
日付が食い違うのは、「誕生日石」が公的な枠組みの外にあるものだからです。日本で広まっている日付ごとの石は、1997年に出た1冊の書籍を出発点としており、資料によって内容が違います。
ただし、12月の誕生石であるラピスラズリとは、鉱物としてつながっています。
この記事では、石言葉の出所をたどり、公的な誕生石の枠組みを出典とともに示し、なぜ日付が食い違うのかを説明したうえで、ラピスラズリとのつながりと、贈り物に選ぶ前に知っておきたいことまで整理します。
よく挙がる石言葉は「高貴」「情熱」「過去との決別」

まず、市場で共有されている表現から確認します。アウイナイトの石言葉として紹介されることが多いのは、次の3つです。
| 言葉 | よく添えられる説明 |
|---|---|
| 高貴 | 深く濃い青の印象から |
| 情熱 | 蛍光するほど強い発色から |
| 過去との決別 | 古い価値観や執着を手放し、次へ進むこと |
このほかに、「再生」「新たな光」「希望」「誠実」「知性」「静かな情熱」などが挙げられているページもあります。
ここで気づくのは、言葉の数が資料によって増減しているということです。3つで止まるページもあれば、6つ以上挙げるページもあります。同じ石について、同じ内容が共有されているわけではありません。
では、これらの言葉はどこから来ているのでしょうか。
この石言葉は誰が決めたのか|出典をたどる

結論からお伝えすると、アウイナイトの石言葉を定めた公的な機関は確認できませんでした。
宝石に関する国内の業界団体として、一般社団法人日本ジュエリー協会があります。同協会は誕生石について解説するページを持っており、そこには誕生石の成り立ち、改訂の日付、12カ月の一覧が記載されています。
ただし、そのページに石言葉の記載はありません。誕生石は扱われていますが、石言葉はそもそも扱われていないのです。
これは、石言葉が「間違っている」という意味ではありません。そもそも公的に定める枠組みが存在しない、ということです。花言葉と同じように、言い伝えや出版物を通じて共有されてきた文化的な表現であり、宝石の性質から導かれるものでもありません。
したがって、この記事では次のように扱います。
- 「高貴」「情熱」「過去との決別」は、市場で広く共有されている表現です
- 「◯◯と定められています」という書き方はしません。定めた主体を確認できないためです
- 石の性質や価値とは、別のものとして扱います
なお、アウイナイトの名称は、フランスの結晶学者ルネ=ジュスト・アユイに由来します。1807年にイタリアのヴェスヴィオ火山のソンマ山で最初に記載された鉱物で、鉱物名はアウイン、和名は藍方石(らんぽうせき)です。石言葉の3つの言葉と、この由来との間に、資料上のつながりは確認できません。
アウイナイトは日本の誕生石ではありません|2021年改訂の29種

誕生石については、公的な枠組みがあります。ここははっきり答えられます。
日本ジュエリー協会は、「1912年にアメリカの宝石業界により定められた種類が、今日、日本でも広く知られており、一般に用いられています」と説明しています。そして、「2021年12月20日に誕生石の改訂がおこなわれました」と記載しています。
この改訂では10石が追加され、全29種になりました。改訂後の一覧は次のとおりです。
| 月 | 誕生石 |
|---|---|
| 1月 | ガーネット |
| 2月 | アメシスト/クリソベリル・キャッツ・アイ |
| 3月 | アクアマリン/サンゴ/ブラッドストーン/アイオライト |
| 4月 | ダイヤモンド/モルガナイト |
| 5月 | エメラルド/ジェイダイト(ヒスイ) |
| 6月 | 真珠/ムーンストーン/アレキサンドライト |
| 7月 | ルビー/スフェーン |
| 8月 | ペリドット/サードオニックス/スピネル |
| 9月 | サファイア/クンツァイト |
| 10月 | オパール/トルマリン |
| 11月 | トパーズ/シトリン |
| 12月 | トルコ石/ラピスラズリ/タンザナイト/ジルコン |
この29種のなかに、アウイナイトはありません。
「公式なリストには含まれていない」と書いているページは上位にもありますが、どの団体の、いつ時点のリストなのかまで示しているページは見当たりません。ここを明示しておくことに意味があると考えています。
誕生日石の日付が資料ごとに違う理由|出所は1冊の本

検索していると、「アウイナイトは◯月◯日の誕生日石」という記述に行き当たります。実際に調べると、次のように割れています。
| 資料 | アウイナイトについての記述 |
|---|---|
| A | 7月16日の誕生日石 |
| B | 10月27日の誕生日石 |
| C | 10月6日の誕生日石 |
| D | 2月25日の誕生日石 |
| E | 6月16日の誕生日石 |
| F | 8月の副誕生石 |
| G | 水瓶座の守護石 |
| H | 天秤座の星座石 |
| I | 海外では7月や9月の誕生石 |
9通りに分かれています。どれか1つが正しく、ほかが間違っている、というわけではありません。
理由は、「誕生日石」が誕生石とは別の枠組みだからです。
先ほど見たとおり、日本ジュエリー協会が扱っているのは月ごとの誕生石であり、日付ごとの石(誕生日石)については、ページに記載がありません。つまり、公的な枠組みの外にあります。
日本で広まっている日付ごとの石は、1997年7月に初版が出た『366日誕生石の本』(斉藤貴子 著・日本ヴォーグ社)を出発点としており、その後さまざまな書籍やサイトが独自に編んでいます。定める主体がないため、資料ごとに内容が違うのは自然なことです。
したがって、この記事では特定の日付を「アウイナイトの誕生日石です」とは書きません。そう書いてあるページを見かけても、それは出典の異なる別々の体系だとお考えください。
12月の誕生石ラピスラズリとの、鉱物としてのつながり

「誕生石ではない」で終わってしまうと、少し寂しい話になります。ただ、鉱物としては、誕生石とはっきりつながっています。
先ほどの一覧にあったとおり、12月の誕生石にはラピスラズリが含まれています。
そしてラピスラズリの青をつくっている主成分はラズライトという鉱物です。鉱物データベースでは、ラズライトは硫化物に富むアウイン(アウイナイトの鉱物名)の変種として扱われており、塊状のものがラピスラズリの主成分になると記載されています。
整理すると、次のような関係です。
| アウイナイト | ラズライト(ラピスラズリの主成分) | |
|---|---|---|
| 鉱物としての関係 | アウイン | アウインの、硫化物に富む変種 |
| 見た目 | 透明な単結晶 | 不透明。塊状のものが岩石になる |
| 誕生石 | 含まれない | 12月(ラピスラズリとして) |
つまり、アウイナイトは「12月の誕生石の、透明な親戚」という位置づけになります。制度としての誕生石には入っていませんが、鉱物としては無関係ではありません。
この関係を書いているページは、上位には見当たりませんでした。ラピスラズリとのつながりを含めた全体像は、アウイナイトとはどんな宝石かで整理しています。
贈り物に選ぶ前に知っておきたいこと

「過去との決別」「新たな光」という言葉から、節目の贈り物として選ばれることがあります。その場合に、先にお伝えしておきたいことがあります。
アウイナイトは、扱いに気をつかう石です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| モース硬度 | 5.5〜6。宝石のなかではやわらかい部類 |
| 劈開 | あり。決まった方向に割れやすい |
| 洗浄 | 超音波洗浄機とスチーム洗浄機は避けるよう専門資料に記載 |
| 大きさ | 主産地のドイツ産は通常0.25カラット未満。小さい石が中心 |
毎日着けるジュエリーとして渡す場合は、家事や作業のときに外していただくことを、あわせて伝えておくと安心です。
受け取った石が本当にアウイナイトなのか気になる場合は、アウイナイトの偽物と見分け方で、判別できるところと判別できないところを分けて整理しています。硬度と劈開が普段づかいにどう影響するのかは、アウイナイトの硬度と劈開、扱い方にまとめています。
もう1つ、価値の話とは分けて考えていただきたいということがあります。誕生石に入っていないことと、宝石としての市場評価とは、まったく別の話です。アウイナイトは産出の限られた石であり、誕生石ではないから評価が低い、ということはありません。
受け取った品物の価値が気になるときや、譲り受けたアウイナイトをどうするか迷ったときは、そのままお持ちいただけます。
まとめ
アウイナイトの石言葉と誕生石について、出典から言えることを整理します。
| 論点 | 結論 |
|---|---|
| 石言葉 | よく挙がるのは「高貴」「情熱」「過去との決別」 |
| 誰が決めたか | 公的な機関は確認できない。業界団体のページにも石言葉の記載はない |
| 誕生石か | 日本の誕生石ではない。1912年のアメリカ発祥・2021年12月20日改訂の全29種に含まれない |
| 誕生日石の日付 | 資料によって9通りに分かれる。公的な枠組みの外にあり、1997年の書籍を出発点に広まったため |
| ラピスラズリとの関係 | 12月の誕生石ラピスラズリの主成分ラズライトは、鉱物としてはアウインの変種 |
| 贈るときの注意 | 硬度5.5〜6・劈開あり・超音波洗浄は避ける・石は小さい |
| 価値との関係 | 誕生石かどうかと市場評価は別 |
石言葉も誕生日石も、出所をたどると、定める主体がありません。それは価値のないことではなく、受け取る側が自由に意味を重ねてよい、ということでもあります。ただ、「そう定められている」と書かれていたら、一度立ち止まるだけの余地は持っておいてよいと思います。
査定の流れや費用、売る前に確認しておきたいことは、アウイナイトの買取にまとめています。
お手元のアウイナイトが宝石としてどのように評価されるのか、気になるときは一度確認してみませんか。
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