エメラルドの指輪を査定に出すとき、石の値段は分からなくても、枠の貴金属がいくらなのかは自分で確かめられます。台座の貴金属は品位・重量・当日単価の掛け算で決まり、誰が計算しても同じ数字になるのです。
この記事では、K18やPt900の台座がいくらになるのかという計算方法と、その額が査定日によって変わる理由を解説します。
- 結論:台座の貴金属は「品位別のグラム単価 × 重量」で求められ、K18・5gのリングなら約77,925円です。
- 理由:貴金属は素材と重さだけで価値が決まる一方、宝石は品質の判定が必要なため、同じ台座でも石の品質によって総額に占める割合が96%から7%まで変わります。
- 行動:刻印で品位を、全体の重量から石の分を引いて重さを確認すれば、台座の額を自分で計算し、提示額と突き合わせられます。
台座の額は「品位 × 重量 × 単価」で決まる

台座の貴金属には、3つの情報がそろえば必ず金額が出ます。石とは違い、判定する体制の有無で数字が出たり出なかったりすることはありません。
必要なのは、品位・重量・当日単価の3つです。品位はリングの内側に刻印されています。K18、Pt900といった表記がそれにあたります。重量はグラム単位で量り、単価はその日の貴金属相場から決まる構造です。
式は次のとおりです。
品位別のグラム単価 × 重量 = 台座の貴金属の参考価格
K18・5gのリングであれば、15,585円/g × 5g で約77,925円という計算になります。
この3つのうち、品位と重量は品物そのものが持っている情報で、査定する側が変えられるものではありません。変わるのは単価だけです。つまり、同じリングを別の店に持ち込んでも、台座の部分は大きく違う金額にはなりません。査定額に差が出るとすれば、その差は台座ではなく石の側から生まれています。
ただし、実際の査定額は手数料や精錬にかかる費用、品物の状態によっても変わります。ここで求められるのはあくまで参考価格であり、この額がそのまま提示されるとは限りません。
品位別のグラム単価——K18とK10では2倍の開きがある

同じ5gの枠でも、K18とK10では台座の額が2倍以上変わります。品位別のグラム単価の目安は、次のとおりです。
| 素材 | 表示刻印 | グラム単価の参考(記事作成時点) |
|---|---|---|
| 純金 | K24 | 21,351円/g |
| 金(22金) | K22 | 19,495円/g |
| 金(18金) | K18 | 15,585円/g |
| 金(14金) | K14 | 11,253円/g |
| 金(10金) | K10 | 7,731円/g |
| プラチナ | Pt1000 | 7,566円/g |
| プラチナ | Pt950 | 7,136円/g |
| プラチナ | Pt900 | 6,705円/g |
| プラチナ | Pt850 | 6,198円/g |
※2026年7月11日時点の田中貴金属 RE:TANAKAリサイクル価格を参考にした目安です。金・プラチナの価格は日々変動するため、査定時点の相場をあらためてご確認ください。
金の単価が品位で変わるのは、含まれている金の割合が違うためです。K18は金の含有率が75%、K10は41.7%です。同じ「金の指輪」でも、含有率が半分近く違えば、単価も比例して変わります。
K18・5gの枠なら約77,925円ですが、同じ形のK10・5gの枠であれば約38,655円です。見た目がよく似ていても、刻印が違えば台座の額は4万円近く変わります。
プラチナは、同じ重さの金より単価が低くなっています。Pt900は6,705円/gで、K18の半分以下です。プラチナのほうが高価という印象をお持ちの方もいますが、査定額は素材のイメージではなく、その日の相場で決まります。エメラルドの枠にはK18とPt900のどちらも使われるため、まず刻印を確認することが出発点になります。
台座の重量は、全体から石の分を引いて求める

台座の重量は、品物全体の重さから石の重さを引いて概算できます。エメラルドは1ctが約0.2gですから、引き算はごく単純です。
たとえば、1ctのエメラルドが留められたリング全体が5.2gであれば、石が約0.2g、台座はおよそ5gと見積もれます。K18であれば 15,585円/g × 5g で約77,925円です。
この引き算が必要なのは、宝石と貴金属では1gあたりの価値がまったく違うためです。石の重さを台座に含めたまま計算すると、台座の額を多めに見積もることになります。1ct程度であれば誤差はわずかですが、大きな石ほど差が出ます。
なお、正確な数字でなくてもかまいません。台座がおよそいくらかを把握し、提示額と突き合わせられれば足ります。石にいくら付いたのかを逆算する手順は、提示額から石の評価額を逆算する方法で整理しています。
石を枠から外して量る必要はありません。取り外しには破損の可能性があり、ご自身で行うことは避けてください。留められたままの全体重量からの概算で、判断に必要な精度は確保できます。
石の品質によって、台座が占める割合は96%にも7%にもなる

同じK18・5gの台座でも、留められた石の品質によって、総額に占める割合は96%から7%まで変わります。台座の額は一定なのに、比率だけが逆転する構造です。
1ctのエメラルドをK18・5gのリングに留めた場合で、品質別に並べます。台座はどの行も約77,925円で共通です。
| 石の品質条件 | 石の目安 | 台座が占める割合 |
|---|---|---|
| 低品質(通常含浸・産地不明) | 3千〜1万円 | 約96% |
| 中品質(コロンビア産または高透明度) | 10万〜30万円 | 約44% |
| 高品質(ノンオイル・高品質カラー) | 100万〜300万円 | 約7% |
※台座=K18 × 5g × 15,585円/g = 約77,925円で固定し、各品質の下限で算出した割合です(2026年7月11日時点の田中貴金属 RE:TANAKAリサイクル価格を参考)。
低品質の石では、台座が総額のほとんどを占めます。石が3千円で台座が約7.8万円ですから、貴金属のほうが石の20倍以上という関係です。この場合、査定額はほぼ貴金属相場で決まり、石の判定が入っても総額はあまり動きません。
高品質の石では、関係が逆転します。石が100万円を超えると、台座の約7.8万円は総額の1割にも届きません。この帯では、貴金属相場がいくら動いても総額への影響はわずかで、査定額を決めているのは石の判定です。
ここから分かるのは、台座の額そのものより、石がどの帯にあるかで確認すべき点が変わるということです。低品質の帯であれば、品位と重量が正しく量られているかが要点になります。中品質から上の帯では、石の判定内容を確認する意味が大きくなるのです。
中品質の44%という数字は、その分かれ目にあたります。石と台座がほぼ同じ規模で並ぶため、どちらか一方だけを確認しても、提示額が妥当かどうかは判断できません。
台座の額は査定日で動き、石の評価は品質で決まる

台座の貴金属は相場によって日々変わりますが、石の評価は相場ではなく、その石の色・処理・産地によって決まります。2つの層は、動き方の性質が異なります。
貴金属の相場が動くのは、金やプラチナが国際的に取引される商品だからです。為替、産出量、投資需要といった要素で価格が形成され、日々更新されます。同じリングを別の日に査定すれば、台座の額はその日の単価に応じて変わります。
一方、石の側は毎日の相場表を持ちません。エメラルドの評価は、色・透明度・処理・産地という石そのものの条件で決まります。ノンオイルが通常品の2〜5倍で評価されるのは、その条件を満たす個体が市場に出る数が限られるためであり、日々の値動きによるものではありません。
この違いは、査定額の読み方に影響します。以前の査定額と今回の提示額が違っていた場合、台座の分は相場の変動で説明できます。しかし石の分が大きく変わっていれば、それは相場ではなく、判定の内容が違っていた可能性が高いということです。
2つの層を分けて確認すれば、金額の変化がどちらの理由によるものかを切り分けられます。石の価値が金額に乗らないまま終わる経路については、エメラルドの査定額を決める4つの評価軸と3層構造で全体像を整理しています。
よくある質問
台座の貴金属について寄せられる3つの質問に、計算の観点からお答えします。いずれも、提示額の内訳を確認するときに役立つ項目です。
Q. 刻印が消えていて品位が分からない場合はどうなりますか?
刻印がなくても査定はできます。比重検査や専用の分析機器で品位を確認する方法があるためです。古いジュエリーでは刻印が摩耗しているケースも珍しくありません。ただし、ご自身で品位を判断することは難しいため、確認された品位が何であったかを査定時に尋ねると、台座の額を計算で確かめられます。
Q. 計算した台座の額より、提示額が低いことはありますか?
あります。グラム単価から求められるのは参考価格であり、実際の査定額は手数料や精錬にかかる費用、品物の状態によって変わるためです。差が生じること自体は構造上ありうることですが、その差がどこから来ているのかは説明を求められます。計算値と提示額の両方を持っていれば、その質問ができます。
Q. 石が低品質なら、貴金属だけの査定でも問題ないのですか?
石が実際に低品質だと判定されたのであれば、台座が総額の96%を占めるため、結果として大きな差にはなりません。ただし、判定されないまま低品質として扱われた場合は別です。ノンオイルや産地の証明があれば、同じ1ctでも100万円を超える帯に入ります。低品質かどうかが、何を見て判定されたのかを確認することが分かれ目になります。
まとめ:台座は計算で確かめられ、石は判定でしか決まらない
台座の貴金属は「品位別のグラム単価 × 重量」で求められ、K18・5gのリングなら約77,925円という参考価格が誰にでも計算できます。品位は刻印で、重量は全体から石の分を引いて確認できます。
提示額が妥当かどうかは、まず台座の額を計算し、総額からその分を差し引いて確認してください。石が低品質の帯であれば台座が96%を占め、高品質の帯であれば7%まで下がります。どちらの帯にあるかで、確認すべき点が変わります。
SHINKAは、宝石やジュエリーの価値を構造的に見極める査定サービスです。国際的な宝石鑑定資格を持つ鑑定士が在籍し、貴金属の品位と重量を確認したうえで、石の種類・品質・処理の有無・産地を判定し、宝石と貴金属を分けて評価内容をご説明します。店頭査定のほか、LINEとメールでのご相談にも対応しています。

