シトリンの買取査定|評価はどう積み上がるのか、石だけで決まらない理由

「シトリンの買取価格はいくらですか」

このご質問に、金額だけでお答えすることはできません。理由は、シトリンの査定額が石そのものの評価だけでは決まらないためです。

当店では、宝石・貴金属・作りやデザイン・ブランド・状態・鑑別書・再販市場を含めて、ジュエリー全体として査定しています。同じシトリンが留まっていても、それ以外の条件が違えば結果は変わります。

この記事では、評価がどう積み上がるのかを、順に組み立てていきます。金額そのものはお約束できませんが、査定額の構造をご理解いただければ、売却の判断はできるはずです。

査定額は、性質の違う7つの評価を合算したものです

シトリンのルースと指輪を並べた図。査定額は石と石以外の両方を見て決まることを示す

最初に結論をお伝えします。

当店では、シトリンのお品物を、次の7つの観点で評価しています。

観点何を見ているか
宝石シトリンそのものの品質
貴金属台座・枠に使われている金・プラチナ等
作り・デザイン細工の手間、デザインとしての完成度
ブランドブランドとしての評価
状態欠け・傷・変形・欠品の有無
鑑別書付属する書類から確認できること
再販市場そのお品物が次にどう扱われるか

査定額は、このいずれか1つで決まるものではありません。それぞれを見たうえで、合算した結果です。

そして重要なのは、この7つが同じ性質のものではないという点です。石の評価は宝石学の話ですが、貴金属は重量と相場の話であり、再販市場は流通の話です。性質の違うものを、それぞれの見方で評価しています。

以降では、まず石そのものの評価から始め、そのあとに石以外の評価を扱います。

石そのものの評価|GIAが示す4つの要因が見ているもの

彩度の高いシトリンと褐色味のあるシトリンを並べた図。色を見る2つの軸を示す

シトリンそのものの品質について、GIAは色・クラリティ・カット・カラット重量を要因として示しています。

ただ、要因の名前を並べるだけでは、何を見ているのかが伝わりません。それぞれが何の指標なのかを整理します。

色|彩度と褐色味

GIAは、褐色味がほとんど、またはまったくない、彩度の高い色を珍重される色として説明しています。評価される色域は、彩度の高い黄色から、赤みがかったオレンジ、オレンジがかった赤色までです。

また、現代の市場では、深い褐色味や赤味のあるオレンジも人気色として説明されています。

つまり色の評価は、「濃いか薄いか」という一次元の話ではありません。彩度と、褐色味の入り方という2つの軸で見ています。

クラリティ|基準が高い理由

市場に流通するファセットカットのシトリンは、その多くが肉眼で内包物の見えない状態です。

これは評価の前提を押し上げます。大半がその水準にあるため、目に見える内包物や目立つ色のむらがあると、相対的に不利になります。特に色の淡い石で内包物が目立つ場合、価値への影響が大きくなり得るとGIAは説明しています。

「内包物があるから価値がない」のではなく、市場の標準がどこにあるかによって、同じ内包物の意味が変わるということです。

カット|規格だけでは測れない

シトリンは、規格的なカットだけでなく、オリジナルのカットやファンシーカット、彫刻にも用いられます。GIAは、魅力的なカットスタイルを品質判断の一要素としています。

石のサイズに対して何を優先してカットしたのか。そこに作り手の判断が現れます。

カラット重量|他の宝石と上がり方が違う

ここは、シトリンの評価を考えるうえで特に重要な点です。次の項目で扱います。

大きさの評価が、他の宝石と同じようには効きません

大きいシトリンと小さいシトリンを並べた図。大きさだけで査定額が決まらないことを示す

GIAは、シトリンについて次のように説明しています。

  • 大粒が比較的入手しやすい
  • 大きくなっても、1カラットあたりの価格が小粒に比べて著しく上がるとは限らない

宝石のなかには、サイズが大きくなるほど希少性が急激に高まり、1カラットあたりの単価そのものが跳ね上がるものがあります。市場に出る個体数が限られるためです。

シトリンは、その上がり方をしにくい石だとGIAは説明しています。

これは評価の構造として、次を意味します。

大きさが単価を押し上げる力が弱い分、他の要素が相対的に効いてきます。色の質、カットの完成度、そして石以外の部分です。

「大きいから高いはず」という前提で査定額を予想すると、実際と離れやすいのはこのためです。

石以外の評価|当店が何を見ているか

爪や枠、アームの作りが見えるシトリンの指輪の拡大

ここからが、査定額の組み立てのもう半分です。

貴金属|計算できる部分

指輪やペンダントの台座・枠に使われている金やプラチナは、重量と品位(K18・Pt900など)から計算できる部分です。

宝石の評価が判断を伴うのに対し、貴金属は計算に近い性質を持ちます。ただし相場は日々変動するため、金額をあらかじめお示しすることはできません。査定の際に、その日の相場をもとにお伝えします。

作り・デザイン|同じ石でも変わる部分

同じシトリンが留まっていても、細工の手間やデザインとしての完成度によって、お品物の評価は変わります。

石を主役にした作りなのか、デザイン全体のなかの一要素なのか。その構成自体が評価の対象です。

ブランド

ブランドのお品物であれば、その評価も含まれます。ノーブランドのお品物も、もちろん査定します。

状態

欠け・傷・変形・留め具の欠品などを確認します。

ただし、状態が悪いことは査定できない理由になりません。欠けや割れのあるお品物、石が枠から外れてしまったお品物も、そのままお持ちいただけます。

鑑別書

お持ちの場合は、記載された石種などを重要な確認根拠として扱います。ない場合でも査定できます(H2-6で扱います)。

再販市場|なぜ買取店の評価に関わるのか

7つ目の観点は、他とは性質が違います。

買取店の査定額は、そのお品物が次にどう扱われるかと切り離せません。同じ品質・同じ素材でも、次の流通のかたちが違えば、評価も変わります。

これは石の品質の話でも、素材の話でもありません。流通の話です。当店が「宝石だけで決まらない」と申し上げているのは、こうした性質の違う要素を合算しているためです。

個別のご質問と、その位置づけ

1粒のシトリンから4つの論点へ線が伸びる図。加熱・表記・判別・産地の位置づけを示す

シトリンの査定でよくいただくご質問について、査定額との関係を整理します。詳細は、それぞれの記事で扱っています。

加熱されたアメシストの扱い

GIAによれば、天然のシトリンは自然界では稀で、市場にあるシトリンの多くはアメシストを加熱して色を変えたものです。加熱は例外ではなく、市場の標準的な状態です。

当店では、加熱されていることだけを理由に減額していません。一方、着色や染色のように市場評価に影響する処理は、査定額へ反映します。

くわしくは:シトリンとアメシストの関係

「シトリントパーズ」表記の扱い

シトリンはクォーツであり、トパーズとは別の鉱物です。GIAは、近代宝石学の確立以前に、シトリンがその色のためトパーズと混同された歴史を説明しています。

当店では、この表記があるお品物をシトリンとして査定します。表記を理由に減額することはありません。

くわしくは:シトリンとトパーズの違い

天然か加熱かの判別

見た目だけで断定することはできません。当店では処理の傾向を見ることはありますが、店頭で断定はしていません。

判別できていない状態のままお持ちいただけます。天然・合成・模造のいずれか判別できていないお品物でも、査定・ご相談をお受けしています。

くわしくは:天然か加熱かの見分け方

産地と査定額の関係

当店では、シトリンについて、産地だけを理由に査定額を変えていません。

これは「シトリンの産地に意味がない」という主張ではありません。市場全体での扱いは時期や需要で変わり得ます。当店が現在どう査定しているかという話です。

なお「ブラジル産」と表示されるものの多くは、加熱される前のアメシストの産地を指しています。GIAが天然シトリンの主要産地として挙げるのは、ボリビア・スペイン・マダガスカル・メキシコ・ウルグアイです。

くわしくは:シトリンの産地と査定

鑑別書がないことは、シトリンでは標準的な状態です

鑑別書がある場合とない場合を並べた図。どちらもそのまま査定できることを示す

鑑別書・鑑定書がなくても査定できます。

シトリンでは、お持ちでない方のほうが多くいらっしゃいます。これには市場としての理由があります。

GIAはシトリンにも識別のレポートを提供していますが、一般的なシトリンの価格に対してレポート費用の負担が大きいため、シトリンでレポートが依頼されることは一般的ではないとしています。

つまり、書類がないことはシトリンにおいて例外的な状態ではありません。書類を用意してからでなければ相談できない、ということはありません。

お持ちの場合は、記載内容を重要な確認根拠として査定に反映します。

次のような状態でも査定できます

  • 鑑別書・鑑定書がない
  • 石が枠から外れている
  • 欠け・割れがある
  • ルース(石だけ)の状態
  • ピアスが片方のみ
  • 購入時期が不明な古いお品物
  • ノーブランド
  • 天然・合成・模造のいずれか判別できていない

査定の進め方

お持ちいただく、目の前で査定、その場でご説明という3つの流れを示した図

方法

店頭・宅配・出張・LINEからお選びいただけます。ご予約なしでもお越しいただけます。

店頭での流れ

目の前で査定します。査定中のご質問にはその場でお答えします。この記事で扱った7つの観点のうち、どこをどう見たのかをお伝えできます。

お時間は通常5〜10分ほどが目安です。

店頭ではその場で現金でお支払いします。宅配の場合は原則24時間以内にお振り込みします。

費用

査定料・キャンセル料・出張料・宅配の返送料・振込手数料は無料です。宅配の送料も原則無料です。

売却をお決めになっていない段階のご相談だけでもお受けしています。他店との相見積もりも歓迎しています。

よくある質問

色も大きさも作りも違う4点のシトリンの品物

Q. シトリンの買取相場を教えてください。

一律の相場をお示しすることはできません。査定額は、石そのものの品質に加えて、貴金属・作りやデザイン・ブランド・状態・鑑別書・再販市場を含めた合算で決まるためです。

Q. 石が小さいと査定できませんか。

査定できます。大きさは評価の一要素ですが、GIAが示すとおりシトリンは大きさが単価を押し上げにくい石です。色や状態、そして石以外の部分の評価が結果を左右します。

Q. 加熱されたシトリンは減額されますか。

当店では、加熱されていることだけを理由に減額していません。

Q. 石だけ、枠だけでも査定できますか。

できます。ルースの状態でも、石が外れた枠だけの状態でも査定します。

Q. 鑑別書がありません。

査定できます。シトリンでは、お持ちでない方のほうが一般的です。

Q. 査定額の内訳を教えてもらえますか。

査定中にお尋ねください。目の前で査定していますので、どの観点をどう見たのかをお伝えします。

Q. 売るかどうか決めていません。

ご相談だけでもお受けしています。査定料は無料で、相見積もりも歓迎しています。

まとめ

  • シトリンの査定額は、石そのものの評価だけでは決まりません
  • 当店は宝石・貴金属・作りやデザイン・ブランド・状態・鑑別書・再販市場の7つの観点で評価し、性質の違うものをそれぞれの見方で見たうえで合算しています
  • GIAが示す品質要因のうち、色は彩度と褐色味の2軸クラリティは市場の標準との相対で見るものです
  • 大きさが単価を押し上げる力が弱い分、他の要素が相対的に効きます
  • 加熱されていることだけを理由に減額していません
  • 当店では、産地だけを理由に査定額を変えていません
  • 鑑別書がなくても査定できます。シトリンではお持ちでない方のほうが一般的です

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この記事は、GIA G.G.資格保有者が公開前に内容を確認しています。

シトリンの産地|天然の産出国と「ブラジル産」の意味、産地が評価にどう関わるのか

シトリンの産地を調べると、多くのページが「主な産地はブラジル」と説明しています。

ただ、この説明には整理が必要です。GIAが天然シトリンの主要な産地として挙げているのは、ボリビア・スペイン・マダガスカル・メキシコ・ウルグアイであり、ブラジルはそこに含まれていません。

では、なぜブラジルの名前がこれほど出てくるのか。そして、産地の情報は宝石の評価にどう関わるのか。

この記事では、天然シトリンの産地加熱前のアメシストの産地「マデイラ」のような販売上の色名という3つを分けて整理したうえで、産地が査定でどう扱われるのかまでをお伝えします。

天然シトリンの産地と、「ブラジル産」と呼ばれるものは別の話です

天然のシトリンと加熱前のアメシストを並べた図。同じ産地という言葉が2つのものを指すことを示す

まず、事実を分けて確認します。

何を指すか主な地域
天然シトリンの産地地中でシトリンとして生成したものボリビア・スペイン・マダガスカル・メキシコ・ウルグアイ
「ブラジル産」と呼ばれるもの加熱前のアメシストの産地ブラジル

GIAは、天然シトリンの主要な産地として、ボリビア・スペイン・マダガスカル・メキシコ・ウルグアイを挙げています。

一方でGIAは、シトリンの色へ加熱されるアメシストは主にブラジルで採掘されるとも説明しています。

つまり、市場で「ブラジル産シトリン」として扱われているものの多くは、ブラジルで採れたアメシストを加熱してシトリンの色にしたものです。ブラジルで天然のシトリンとして採れたものを指しているわけではありません。

同じ「産地」という言葉でも、どの段階の産地を指しているのかが違います。この区別をしないまま産地を語ると、話がかみ合わなくなります。

なぜブラジルの名前がよく出るのか

1粒の中に紫と黄色が同時に現れたアメトリンのルース

理由は、市場に流通しているシトリンの成り立ちにあります。

GIAによれば、天然のシトリンは自然界では稀で、市場にあるシトリンの多くは、アメシストを加熱して黄色からゴールド系へ色を変化させたものです。

そして、その加熱の対象となるアメシストが、主にブラジルで採掘されています。

流通量で見れば、市場の大部分を占めるのは「ブラジル産アメシストを加熱したシトリン」です。ですから、産地としてブラジルの名前が挙がること自体は、市場の実態を反映しています。

不正確なのは、それを「天然シトリンの主要産地はブラジル」と言い換えてしまう点です。

ボリビアのアナヒ鉱山という例外

産地の話で、もう1つ触れておくべき場所があります。

ボリビア東部、ブラジル国境の近くにあるアナヒ鉱山です。

この鉱山では、同一のクォーツ結晶の中にアメシストの紫とシトリンの黄色が同時に現れます。これをアメトリンと呼びます。GIAは、アナヒ鉱山がアメトリンの唯一の商業的な産地であるとしています。

さらに重要なのは、アナヒ産のこの色の組み合わせは天然由来であり、処理によるものではないとGIAが示している点です。同鉱山ではアメシスト・シトリン・アメトリンが産出し、アナヒ産シトリンの色は、オレンジがかった黄色から、褐色みまたは緑みを帯びた黄色の範囲とされています。

「加熱でシトリンの色になる」という話と、「地中で天然にその色になっている」という話が、同じ鉱山で並んで存在しているわけです。

関連:シトリンとアメシストの関係は、別の記事で解説しています

「マデイラシトリン」は産地を示す言葉ではありません

淡い黄色のシトリンと濃いオレンジ色のシトリンを並べた図。マデイラが色の呼び名であることを示す

シトリンを調べていると、「マデイラシトリン」という呼び方に行き当たります。

ここで、はっきりさせておきたい点があります。

「マデイラ」は、産地を示す言葉として使われているわけではありません。

ポルトガル領のマデイラ島という地名が実在するため、産地名だと受け取られることがあります。しかし市場での「マデイラ」は、濃いオレンジ系の色味を指す呼び名として使われています。マデイラ島で採れたことを意味する表示ではありません。

なお、この呼称がどこから来たのかについては複数の説明が流通していますが、当社では、由来を確定した情報としては扱っていません。確認できていないことを、確認できたかのように書かないためです。

「マデイラ」という表示から読み取れること、読み取れないこと

読み取れること読み取れないこと
おおよその色味の傾向産地
天然か、加熱によるものか
品質の等級

「マデイラ」という表示は、色を伝える言葉です。産地の証明にも、品質の保証にもなりません。

産地によって色の傾向は違うのか

淡い黄色から濃いオレンジまで、色の異なる4粒のシトリン

産地ごとに色の傾向が語られることはあります。実際、GIAはアナヒ鉱山産のシトリンについて、オレンジがかった黄色から褐色みまたは緑みを帯びた黄色という色域を示しています。

ただし、シトリンの色を考えるときには、産地よりも先に見るべき要素があります。

市場に流通するシトリンの多くは加熱によって色が変えられたものです。つまり、目の前にあるシトリンの色は、産地の特徴というより、加熱を含めた成り立ちの結果であることが多くなります。

GIAが品質の要因として示しているのは、色・クラリティ・カット・カラット重量です。産地は、そこに並ぶ項目としては挙げられていません。

当店では、シトリンの産地だけを理由に査定額を変えていません

石だけでなく貴金属や作りも含めて評価するシトリンの指輪

ここからは、当店の査定方針です。

当店では、シトリンについて、産地だけを理由に査定額を変えることはしていません。

これは「シトリンの産地には意味がない」と申し上げているのではありません。市場全体でどう扱われるかは、時期や需要によって変わり得ます。あくまで、当店が現在どう査定しているかという話です。

当店がシトリンで見ているのは、宝石そのものの状態に加えて、貴金属・作りやデザイン・ブランド・状態・鑑別書の有無・再販市場を含めた、ジュエリー全体としての評価です。

産地についても、後述するとおり店舗で証明することができません。証明できない情報を根拠に増減させれば、それは根拠のない金額になります。

関連:シトリンの査定額がどのように決まるのかは、別の記事で解説しています

ルビーやサファイアでは、なぜ産地が価格に影響するのか

ルビーとシトリンを並べた図。産地が価格に影響するかは石種によって違うことを示す

「では、産地が価格に影響する宝石はないのか」という疑問が出ると思います。あります。

市場での一般的な状況

一般に、ルビーやサファイア、エメラルド、トルマリン系の一部では、産地が価格に影響することがあります。

これらの石種では、特定の産地に結びついた品質の傾向が市場で共有されており、産地情報が価格の判断材料として機能してきました。産地を記載した鑑別レポートが取引で使われることもあります。

つまり、産地が価格に効くかどうかは、宝石の種類ごとに事情が違います。すべての色石で一律に効くわけではありません。

当店の対応

当店では、産地が価値を左右する石種については、推定として査定に反映しています。具体的には、ルビー・サファイア・エメラルド・トルマリン系などが該当します。

一方で、シトリンについては、その判断をしていません。

理由は2つあります。

1つは、シトリンで産地が価格に反映される仕組みが、上記の石種のようには確立していないためです。もう1つは、産地を確定できないためです。

産地は証明できるのか

店舗と専門機関を左右に分けた図。店舗では産地を証明できないことを示す

最後に、期待値の話をします。

店舗でできること、できないこと

店舗で産地を証明することはできません。

産地が価値を左右する石種については、外観の特徴などから推定として考慮することはあります。しかし、それは推定であって、証明ではありません。

産地を判断する検査は、専門機関の領域です。当店が科学的に産地を確定できる、ということはありません。

産地の記載がある証明書をお持ちの場合

信頼できる機関が発行した書類に産地の記載がある場合は、確定した情報として扱えます。

ただし、シトリンについては注意点があります。GIAは、シトリンにも識別のレポートを提供している一方で、一般的なシトリンの価格に対してレポート費用の負担が大きいため、シトリンでレポートが依頼されることは一般的ではないとしています。

そのため、シトリンで産地の記載がある書類をお持ちの方は、実際にはあまり多くありません。書類がないことは、シトリンでは例外的な状態ではありません。

よくある質問

母岩の上に紫の結晶が群生したアメシストの原石

Q. シトリンの主な産地はどこですか。

GIAが天然シトリンの主要な産地として挙げているのは、ボリビア・スペイン・マダガスカル・メキシコ・ウルグアイです。ブラジルは、シトリンの色へ加熱されるアメシストの主な産地です。

Q. ブラジル産のシトリンは価値が高いですか。

当店では、シトリンについて産地だけを理由に査定額を変えていません。また「ブラジル産シトリン」と呼ばれるものの多くは、ブラジル産のアメシストを加熱したものです。

Q. マデイラシトリンはマデイラ島産ですか。

いいえ。「マデイラ」は色味を指す呼び名として使われており、産地を示す表示ではありません。

Q. 産地が記載された鑑別書がありません。査定してもらえますか。

はい。シトリンでは、産地の記載がある書類をお持ちの方はあまり多くありません。書類がなくても査定できます。

Q. 産地が不明だと、査定額が下がりますか。

いいえ。当店はシトリンについて産地だけを理由に査定額を変えていないため、産地が不明であることが減額の理由になることはありません。

Q. 店頭で産地を調べてもらえますか。

産地の証明はできません。産地が価値を左右する石種については推定として考慮しますが、シトリンではその判断をしていません。

まとめ

  • GIAが天然シトリンの主要産地として挙げるのは、ボリビア・スペイン・マダガスカル・メキシコ・ウルグアイです
  • よく言われる「ブラジル産」は、加熱前のアメシストの産地です。天然シトリンの主要産地ではありません
  • ボリビアのアナヒ鉱山は、アメトリンの唯一の商業的な産地で、その色の組み合わせは天然由来です
  • 「マデイラ」は色味の呼び名であり、産地表示ではありません。由来については当社は確定した情報として扱っていません
  • 一般に、ルビーやサファイア等では産地が価格に影響することがあります
  • 当店では、シトリンについて産地だけを理由に査定額を変えていません
  • 店舗で産地を証明することはできません。産地の記載がある書類があれば、確定した情報として扱えます

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この記事は、GIA G.G.資格保有者が公開前に内容を確認しています。

シトリンの天然と加熱の見分け方|見た目だけで断定できない理由と、確認できる範囲

「このシトリンは天然なのか、それとも加熱されたものなのか」

インターネットで調べると、色の出方や濃淡を見れば判断できる、という説明が数多く見つかります。

ただ、結論から申し上げます。天然のシトリンか、加熱によって色が変わったシトリンかを、見た目だけで断定することはできません。これは知識や経験の量の問題ではなく、判別しようとしている対象そのものの性質によるものです。

この記事では、なぜ判別が難しいのか、よく紹介されている見分け方がどこまで通用するのか、合成やガラスとの違いはどう考えるのか、そしてどこからが鑑別機関の領域なのかを、順に整理します。

天然か加熱かは、見た目だけでは断定できません

天然のシトリンと加熱したシトリンを並べた比較図。見た目に差がないことを示す

最初に、この記事の結論を明確にしておきます。

シトリンについて「天然か、加熱か」を目視だけで確定する方法は、現時点で一般的な判定ルールとして確立していません。

宝石を扱う立場からも、色の出方や濃淡から傾向を読み取ることはあります。しかし、それは傾向であって、断定ではありません。

これは一見すると後ろ向きな話に聞こえるかもしれません。ただ、判別できないものを「判別できる」と説明してしまうと、その先の判断がすべて不確かな前提の上に積み上がります。まず、どこまでが確認できる範囲なのかを正確に把握することが出発点になります。

なぜ判別が難しいのか

紫のアメシストと黄色のシトリンを矢印でつないだ図。加熱で色が変わる同じ鉱物であることを示す

判別が難しい理由は、大きく2つあります。

加熱されたシトリンも、鉱物としては同じクォーツだから

シトリンはクォーツ(水晶)の一種です。トパーズとは別の鉱物です。

GIAによれば、天然のシトリンは自然界では稀で、市場に流通しているシトリンの多くは、アメシストを加熱して黄色からゴールド系へ色を変化させたものです。スモーキークォーツの加熱によってライム色系のシトリンが得られる例も示されています。

ここが重要な点です。加熱によって色が変わったシトリンも、鉱物としてはクォーツそのものです。別の物質に置き換わったわけではありません。

つまり、天然のシトリンと加熱されたシトリンは、もともと同じ鉱物どうしです。同じ鉱物の色の由来を、外から見た様子だけで切り分けようとしている、というのがこの問題の構造です。

比較の基準になる天然シトリンが、そもそも少ないから

天然のシトリンは稀である、というのがGIAの説明です。

判別の基準は、通常「典型的な天然の状態」と「典型的な処理後の状態」を比べることで成り立ちます。ところが、比較の一方である天然シトリンの流通量が限られているため、一般向けの判定ルールとして固定できるほどの共通の型が定まっていません。

「難しい」というのは、経験を積めば解決する種類の難しさではなく、判別の前提が揃っていないという意味での難しさです。

よく紹介される「見分け方」の限界

縁が欠け、内部に割れが入った黄色いシトリンのルース

シトリンの見分け方として、次のような方法が紹介されることがあります。

  • 無色から黄色へのグラデーションがあるかどうかで判断する
  • 色の濃淡のむらの出方で、加熱由来かどうかを判断する

これらについて、当社は天然かどうかを判定する根拠としては扱っていません。

理由は単純で、信頼できる資料のなかに、これらを一般的な判定指標として確認できる記述がないためです。個々の石で結果的に傾向が一致することはあり得ますが、それは「その石がそうだった」ということであって、「その特徴があれば天然である」という規則ではありません。

宝石の判別では、この2つを混同しないことが特に重要になります。「多くの天然石にこの特徴がある」ことと、「この特徴があれば天然である」ことは、まったく別の命題です。前者が正しくても、後者は成り立ちません。

自分で試す判別方法は、おすすめしません

硬いもので引っかいて傷のつき方を見る、加熱してみる、といった方法が紹介されていることもあります。

これらはお試しにならないでください。

シトリンのモース硬度は7で、ジュエリーに使える耐久性を持つ石ですが、GIAは急激な温度変化によってフラクチャー(割れ)を起こすことがあると説明しています。また、強い光に長時間さらすと退色する場合があることも示されています。

判別を試みた結果として石を傷めてしまえば、その損傷は元に戻りません。そして、それだけのリスクを負っても、天然か加熱かは確定しません。

合成シトリン・ガラスとの違いには手がかりがあります

1粒のシトリンから2つの問いへ線が伸びる図。天然か加熱かという問いと、クォーツかどうかという問いの性質の違いを示す

ここまでは「天然か、加熱か」の話でした。これとは別に、「そもそもクォーツなのか」という問いがあります。

この2つは、判別の難しさがまったく違います。

問い比べているもの判別の性質
天然か、加熱か同じクォーツどうし同じ鉱物の色の由来を切り分ける
クォーツか、それ以外か別の物質どうし物質そのものの性質を比べる

後者には、確認の手がかりがあります。

GIAは、合成クォーツ由来の合成シトリンが存在することを示しています。また、ガラスや、複数の素材を貼り合わせた石が、色の似た宝石として流通することもあります。

これらはクォーツとは別の物質であるため、物質としての性質を見れば違いが現れます。そのため、光の当て方を変えて内部の様子を確認したり、比重を測ったりすることが、確認の材料になります。

ただし、ここでも注意が必要です。手がかりがあることと、店頭で確定できることは別です。合成クォーツは天然のクォーツと同じ化学組成を持つため、確定的な結論を出そうとすれば、それは鑑別機関の領域になります。

当店が確認していること、断定していないこと

確認することと断定しないことを左右に分けた図。石の性質は見るが天然か加熱かは断定しないことを示す

ここからは、当店の実務の話です。

当店が確認していること

お品物や確認したい内容に応じて、UV・特殊光源や比重測定などを、確認材料として使用することがあります。

これらは、その石がどのような性質を持つのかを見るためのものです。特定の石種の判別に必ず使う手順として決まっているものではありません。

すでに信頼できる鑑別機関の鑑別書がある場合は、記載された石種を重要な確認根拠として扱います。

当店が断定していないこと

当店では、処理の有無を傾向として見ることはありますが、店頭で断定はしていません。

比重測定についても、位置づけを正確にお伝えしておきます。比重は「クォーツかどうか」を見る確認材料の一つであり、同じクォーツどうしである天然と加熱の判別に使えるものではありません。

当店が「見た目で判別できます」と申し上げないのは、確認の手間を省いているからではありません。現時点の根拠では断定できない、というのが正確な状態だからです。

確実に知る方法と、その費用対効果

小さなケースに入ったまま保管されている黄色いシトリンのルース

「では、確実に知る方法はあるのか」という疑問が残ると思います。

市場の一般的な状況

鑑別機関へ依頼すれば、専門的な検査によって石の性質を確認できます。GIAはシトリンについても Colored Stone Identification Report を提供しています。

ただしGIAは同時に、一般的なシトリンの価格に対するレポート費用の関係から、シトリンでレポートが依頼されることは一般的ではないとしています。

これは費用の問題です。石そのものの評価額に対して検査費用の比重が大きくなりやすいため、市場全体として、シトリンでレポートを取得する慣行が定着していません。

当店の対応

当店では、シトリンの一般的な価格帯において、当店から外部の鑑別機関へ依頼することは基本的にありません。

すべてのお品物を外部鑑別に出しているわけではなく、査定額への影響が限定的な価格帯については、すでにお持ちの鑑別書があればその内容を参考にしたうえで査定しています。

これは手を抜いているという意味ではありません。検査費用がお客様の受け取る金額を上回ってしまえば、その検査はお客様の利益になりません。費用に見合うかどうかを含めて判断しています。

天然か加熱か不明なままでも査定できます

ルース・指輪・石が外れた台座という状態の違う3点のシトリン

ここが、この記事でもっともお伝えしたい点です。

天然か加熱か判別できていない状態のまま、お持ちいただいて構いません。

当店では、天然・合成・模造のいずれか判別できていないお品物でも、査定・ご相談をお受けしています。鑑別書がなくても査定できます。

理由は2つあります。

1つは、天然か加熱かが、シトリンの評価を決める唯一の要素ではないためです。当店では、加熱されていることだけを理由に減額することはありません。GIAが示すとおり市場に流通するシトリンの多くは加熱されたものであり、それは例外ではなく標準的な状態です。一方で、着色や染色のように市場評価に影響する処理については、査定額へ反映します。

もう1つは、判別はお客様の仕事ではないためです。お客様が事前に石の素性を確定させなければ相談できない、という前提そのものが、実務には合っていません。

査定料は無料です。売却を決めていない段階のご相談だけでもお受けしています。

関連:シトリンの査定額がどのように決まるのかは、別の記事で解説しています

よくある質問

クォーツではない、黄色いガラスでできた玉

Q. シトリンの本物と偽物の見分け方を教えてください。

「偽物」という言葉には、2つの異なる意味が含まれています。加熱によって色が変わったシトリンは、鉱物としては本物のクォーツです。一方、ガラスや別の物質でできたものは、クォーツではありません。前者を見た目で判別することはできませんが、後者には確認の手がかりがあります。ご相談の際は、この2つを分けてお伝えします。

Q. 加熱されたシトリンだと、価値がなくなりますか。

いいえ。当店では、加熱されていることだけを理由に減額しません。市場に流通しているシトリンの多くが加熱されたものであることは、GIAも示しています。

Q. 非加熱のシトリンなら高く売れますか。

シトリンについては、非加熱であることが市場価格を押し上げる仕組みが定着しているとは考えていません。そのため当店では、非加熱であることを前提とした上乗せの案内はしていません。

Q. 鑑別書がありません。査定してもらえますか。

はい。鑑別書がなくても査定できます。すでにお持ちの場合は、記載内容を重要な確認根拠として扱います。

Q. 自分で見分ける方法を試してもよいですか。

おすすめしません。急激な温度変化で割れが生じることがあり、強い光に長時間さらすと退色する場合もあります。石を傷めるリスクを負っても、天然か加熱かは確定しません。

Q. 加熱かどうか、はっきりさせてから持ち込むべきですか。

その必要はありません。判別できていない状態のままお持ちください。

まとめ

  • 天然のシトリンか加熱されたシトリンかを、見た目だけで断定することはできません
  • 理由は、両者が同じクォーツという鉱物どうしであり、比較の基準となる天然シトリンが稀であるためです
  • よく紹介される色のグラデーションや濃淡による判別を、当店は天然性の判定根拠として扱っていません
  • 一方、クォーツかそれ以外かという問いには確認の手がかりがあります。ただし確定は鑑別機関の領域です
  • 当店は処理を傾向として見ますが、店頭で断定はしません
  • シトリンの一般的な価格帯では、鑑別レポートの取得が費用に見合わないことが多いのが実情です
  • 判別できないままお持ちいただいて構いません。査定料は無料で、ご相談だけでもお受けしています

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この記事は、GIA G.G.資格保有者が公開前に内容を確認しています。

シトリンとアメジストは同じクォーツ|加熱で色が変わる関係と査定での扱い

シトリンとアメジストは同じクォーツ|加熱で色が変わる関係と査定での扱い

シトリンとアメジストは、店頭では別々の石として並びます。黄色い石と紫の石ですから、そう見えるのは自然なことです。

ただし鉱物としては、どちらも同じクォーツ(水晶)です。そして市場に出回っているシトリンの多くは、アメジストを加熱して色を変えたものです。

この事実を知って、自分の石は本物なのか、価値が下がるのではないかと考える方がいらっしゃいます。結論を先にお伝えすると、加熱されたシトリンも本物のシトリンであり、当店では加熱されているという理由だけで査定額を下げることはありません。

この記事では、2つの石が鉱物としてどういう関係にあるのか、加熱で何が変わるのか、そして加熱の有無が評価のどこに位置するのかを順に整理します。

市場のシトリンの多くは、加熱したアメジストです

シトリンの多くがアメジストを加熱したものであることを示した図。紫のルースから黄色いルースへ変化する流れ

天然のシトリンは、自然界では稀です。

そのため、市場に流通しているシトリンの多くは、アメシストを加熱して黄色からゴールド系へ変化させたものです。GIAはこの点を、シトリンという石を説明するうえでの基本的な事実として示しています。

またGIAは、スモーキークォーツを加熱することでライム色系のシトリンが得られる例も示しています。黄色いクォーツを得る方法は、ひとつではありません。

つまり、店頭で目にするシトリンが加熱由来であることは、例外的な状況ではありません。それが市場の標準的な姿です。

シトリンとアメジストは、同じクォーツです

シトリンとアメジストがどちらもクォーツで硬度7であることを示した比較図

シトリンは、クォーツの黄色からオレンジ系の透明な変種です。アメジストは、同じクォーツの紫の変種です。

別々の名前がついていますが、鉱物としては同じ石であり、色の違いによって呼び分けられています。

項目シトリンアメジスト
鉱物種クォーツ(水晶)の黄〜オレンジ系の変種クォーツ(水晶)の紫の変種
化学組成SiO₂同じクォーツ
モース硬度77
黄色〜オレンジ〜オレンジがかった赤色
高く評価される色褐色味がほとんど、またはまったくない彩度の高い色強い赤紫または紫で、目に見えるカラーゾーニングがないもの

硬さも組成も同じですから、耐久性の面で扱いが変わるわけではありません。どちらも硬度7で、傷を防ぐ配慮が必要な水準という点も共通です。

違いは、色の評価軸に集約されます

同じクォーツでありながら、高く評価される色の条件は石ごとに異なります。

シトリンでは、褐色味がほとんど、またはまったくない彩度の高い色が珍重されます。アメジストでは、強い赤紫または紫であることに加えて、目に見えるカラーゾーニングがないことが条件になります。

どちらも「色」が評価の中心にある点は共通していますが、見るべき条件は同じではありません。この違いは、加熱によって色が変わったあとの石をどう評価するかにも関わってきます。

加熱すると、色はどう変わるのか

アメシストを加熱すると、色は黄色からゴールド系へ変化します。

またGIAは、一部のアメシストについて、低温での加熱によってオレンジ系のシトリンになる例を示しています。加熱の条件によって、到達する色には幅があるということです。

ここで押さえておきたいのは、色が変わったあとも、その石がクォーツであることに変わりはないという点です。加熱は色を変えますが、鉱物種を変えるものではありません。

なお、加熱の温度や工程について断定的に説明されているものを見かけることがありますが、当店では確認できる出典の範囲を超える内容はお伝えしないようにしています。

「加熱=偽物」ではありません

天然の石と合成の石を並べた分類図。そのままの石も加熱した石も天然の石に含まれることを示す

加熱されたシトリンは、本物のシトリンです。

理由は2つあります。1つは、加熱後もクォーツであることに変わりがないためです。もう1つは、市場に流通するシトリンの多くが加熱由来である以上、加熱品を偽物とみなすなら、市場のシトリンの大半が偽物ということになってしまうためです。

一方で、加熱とは区別して考える必要があるものもあります。合成クォーツからつくられた合成シトリンです。

種類内容扱い
天然のシトリン自然界で黄色〜オレンジ系になったクォーツ天然の石。稀
加熱されたシトリンアメシストなどを加熱して色を変えたクォーツ天然の石。市場の多く
合成シトリン人工的につくられたクォーツ天然の石ではない

加熱は、天然の石に対して色を変える処理です。合成は、石そのものが人工でつくられたものです。この2つは性質が異なるため、同じ「本物ではない」という言葉でまとめることはできません。

天然シトリンは稀ですが、「天然なら高い」とは限りません

非加熱であることの評価が石種によって異なることを示した比較図。シトリンは上乗せなし、ルビーなどは確認できれば上乗せ

天然のシトリンが稀であることは、先にお伝えしたとおりです。

ただし、稀であることと、査定額が上がることは同じではありません。

当店では、非加熱であることが正式に確認でき、かつ市場に非加熱のプレミアムが存在する宝石については、その価値を評価に反映しています。ルビーやサファイア、アクアマリンなどがこれにあたります。

一方でシトリンについては、市場に非加熱のプレミアムが確立していません。そのため当店では、シトリンで「非加熱だから高く評価します」という説明はしていません。

石種加熱を理由とした減額非加熱の上乗せ
シトリンしない主張しない(市場に確立していないため)
ルビー・サファイア・アクアマリンなどしない鑑別書等で確認できる場合は評価に反映する

「加熱だから価値がない」も、「天然だから必ず高い」も、どちらもシトリンについては成り立ちません。評価は色や状態、そしてジュエリー全体の要素から決まります。

見た目で加熱かどうか判断できるのか

天然の石と加熱した石として並べた2粒の黄色いシトリンのルース。見た目では判別できず、どちらも本物であることを示す

当店では、品物や内容に応じてUV・特殊光源や比重測定などを用いて確認していますが、処理の有無については傾向として見るにとどめ、店頭で断定することはしていません。

色の濃淡やグラデーションの出方から天然か加熱かを見分けられるという説明を目にすることがあります。ただし、これらを一般的な判別の指標として扱えるだけの根拠を、当店では確認できていません。そのため、こうした見方を判断の材料として提示することはしていません。

はっきりさせる手段としては、鑑別機関へレポートを依頼するという選択肢があります。信頼できる鑑別機関のレポートがある場合、当店ではその記載内容を重要な確認根拠として扱います。ただしGIAも説明しているとおり、一般的なシトリンの価格に対してレポートの費用がかかるため、実際に依頼されることは多くありません。

大切なのは、加熱かどうかをお客様ご自身で判断していただく必要はない、ということです。種類や処理が不明なままでも、そのままお持ちいただけます。

関連:天然と加熱の見分け方については、別の記事で解説しています

当店では、加熱を理由に査定額を下げることはありません

査定では宝石だけでなく貴金属や作りも含めてジュエリー全体を見ることを示した図

加熱されているという理由だけで、査定額が下がることはありません。

当店では宝石そのものだけでなく、貴金属・作りやデザイン・ブランド・状態・鑑別書の内容・再販市場まで含めて、ジュエリー全体として総合的に査定しています。加熱の有無は、そのなかの1つの観点にすぎません。

市場のシトリンの多くが加熱由来である以上、加熱を減額の理由にするという評価の仕方は、市場の実態と噛み合いません。当店が加熱を理由に減額しないのは、方針である以上に、市場の姿に沿った評価だからです。

その石がどう評価されるのか、確認してみませんか。

SHINKAでは、種類や処理が不明なままでも査定します。ご相談だけでもご利用いただけます。

関連:シトリンの査定額が何によって決まるのかは、別の記事で解説しています

よくある質問

1粒の中に紫と黄色が現れているアメトリンのルース

アメトリンとは、どのような石ですか

同一の透明なクォーツのなかに、アメシストの色とシトリンの色が現れているものです。

ボリビア東部にあるアナヒ鉱山はアメトリンの唯一の商業的な産地で、同じ鉱山からアメシスト・シトリン・アメトリンが産出します。アナヒ産のアメシストとシトリンの色の組み合わせは、処理によるものではなく天然由来であるとGIAは説明しています。

加熱したシトリンは色あせますか

一部のシトリンは、強い光に長時間さらすと退色する場合があります。これは加熱の有無に限った話ではなく、シトリン全般についての注意点です。

保管の際は、直射日光が長時間当たる場所を避けてください。あわせて、急激な温度変化はフラクチャーの原因になることがあります。洗浄は温かい石鹸水が安全で、蒸気による洗浄は熱が加わるため推奨されません。

鑑別書はあったほうがよいですか

あれば内容を参考にして査定しますが、なくても査定できます。

シトリンの場合、鑑別機関のレポートを取得しても査定額への影響が限定的と考えられる価格帯にあたることが多く、当店から取得をお願いすることは通常ありません。お手元に既にある場合のみ、参考として拝見します。

まとめ

シトリンとアメジストは、鉱物としては同じクォーツです。色によって呼び分けられているだけで、硬さも組成も変わりません。

天然のシトリンは稀で、市場に出回っているシトリンの多くは、アメシストを加熱して色を変えたものです。加熱されても石はクォーツのままであり、加熱シトリンは本物のシトリンです。

そして当店では、加熱されているという理由だけで査定額を下げることはありません。同時に、シトリンについて非加熱であることを理由とした上乗せも主張していません。評価は色や状態、そしてジュエリー全体の要素から決まります。

お手元のシトリンが加熱かどうかを、ご自身で見極めていただく必要はありません。そのままお持ちいただければ、当店で確認します。

その石がどう評価されるのか、確認してみませんか。

SHINKAでは、鑑別書がなくても、種類や処理が不明なままでも査定します。査定料は無料で、ご相談だけでもご利用いただけます。ご予約なしでもお越しいただけます。

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この記事は、GIA G.G.資格保有者が公開前に内容を確認しています。

シトリンとトパーズの違い|「シトリントパーズ」の正体と黄色が生まれる仕組み

「シトリントパーズ」と記された保証書やタグをお持ちの方から、これはトパーズなのかというご相談をいただきます。

この名前が指している石は、トパーズではありません。シトリンです。

シトリンとトパーズは、色が似ていても別の鉱物です。硬さも、黄色が生まれる仕組みも違います。ただし見た目だけで断定できるものではなく、当店でも複数の手がかりを合わせて確認しています。

この記事では、2つの石が鉱物としてどう違うのか、なぜ名前が混同されてきたのか、そして査定ではどのように扱われるのかを順に整理します。

「シトリントパーズ」はトパーズではありません

黄色から帯褐橙色のシトリンのルース。「シトリントパーズ」と呼ばれる石はクォーツの変種であることを示す

「シトリントパーズ」「トパーズシトリン」と呼ばれている石は、鉱物としてはシトリンです。

シトリンはクォーツ(水晶)の変種で、透明で淡い黄色から帯褐橙色までの石を指します。一方トパーズは、クォーツとはまったく別の鉱物です。

つまり「シトリントパーズ」という呼び名は、別々の鉱物の名前が1つに結びついたものです。この名前がついているからといって、その石がトパーズであることを意味しません。

保証書やタグにこの表記がある場合、そこに書かれているのは商品としての呼び名であり、鉱物としての分類とは限らない、という前提でご覧ください。

なぜ「トパーズ」と呼ばれてきたのか

色味の異なる黄色い透明な石が3粒並ぶ。かつて黄色い石が色だけでトパーズと呼ばれていたことを示す

宝石学が現代のように発展する前は、黄色い透明な石が広くトパーズと呼ばれていました。GIAも、シトリンがその色のためにトパーズと混同されてきた歴史を説明しています。

当時は鉱物を分類する手段が限られており、色が判断の中心にありました。黄色い石はトパーズという理解が長く続いたことになります。

現在は鉱物種で分類しますが、その時代につけられた呼び名は、商品名や販売名として残りました。

「ゴールデントパーズ」など、似た呼び名

「ゴールデントパーズ」「ブラジルトパーズ」「マデイラトパーズ」なども、同じ理由で使われてきた呼び名です。

いずれもトパーズという語を含みますが、指している石がトパーズとは限りません。お手元の保証書にこれらの名前がある場合は、鉱物としては何なのかを別に確認する必要があります。

シトリンとトパーズは別の鉱物です

シトリンとトパーズの違いを示した図。シトリンはクォーツで硬度7、トパーズは別の鉱物で硬度8

2つの石は、分類上まったく異なります。

項目シトリントパーズ
鉱物種クォーツ(水晶)の変種トパーズ(別の鉱物)
モース硬度78
劈開・靭性劈開があり、靭性はpoor
黄色の発色要因微量の鉄結晶構造の原子レベルの不完全性
温度変化急激な温度変化でフラクチャーを起こすことがある高熱・急激な温度変化で割れを生じることがある

(物性はGIAの記載によります)

硬度は7と8。ただし割れやすさは別の話です

モース硬度は、シトリンが7、トパーズが8です。数字だけを見ると、トパーズの方が硬いことになります。

ただし硬度が示すのは「傷のつきにくさ」であり、「割れにくさ」とは別の性質です。

トパーズには劈開があります。劈開とは、結晶が特定の方向に沿って割れやすい性質のことです。GIAはトパーズの靭性をpoorとしています。

つまりトパーズは、シトリンより傷はつきにくい一方で、衝撃の加わり方によっては割れることがあります。硬度の数字だけで扱いやすさを判断できません。

温度については両方に注意が必要です。シトリンは急激な温度変化でフラクチャーを起こすことがあり、トパーズも高熱や急激な温度変化で割れを生じることがあります。

黄色が生まれる仕組みが違います

見た目が似ていても、色が生まれる原因は同じではありません。

シトリンの黄色からオレンジ色は、微量の鉄によるものとGIAは説明しています。石のなかに含まれる元素が色をつくっています。

一方、トパーズの黄色・褐色・青色は、結晶構造の原子レベルの不完全性から生まれるとされています。含まれる元素ではなく、結晶の構造そのものが色に関わっています。なお、トパーズのピンク・赤・紫色は、クロムによるものです。

同じ黄色に見えても、片方は含まれる元素が、もう片方は結晶構造が色をつくっている。この違いは、2つが別の鉱物であることの現れでもあります。

色の見た目が近いことと、鉱物として同じであることは、別の話です。

黄色いトパーズと並べられることが多い理由

トパーズにも、黄色からオレンジ、赤みを帯びた色のものがあります。こうした色域のトパーズは「インペリアルトパーズ」と呼ばれることがあり、色の印象がシトリンと近いため、並べて紹介されたり比較されたりします。

ただし、色域が近いことと鉱物として同じであることは別です。色だけを手がかりにすると、分類を取り違えることがあります。

見た目で見分けられるのでしょうか

ほぼ同じ色に見える黄色い透明な石2粒。色や透明感だけでは石種を断定できないことを示す

色や透明感だけで、シトリンかトパーズかを断定することはできません。

当店では、品物や確認したい内容に応じて、UV・特殊光源や比重測定などを確認材料として使用します。シトリンとトパーズは比重にも違いがあるため、比重測定が手がかりになる場合もあります。

ただし、これらは複数ある手がかりの一つずつです。当店では石種や処理の傾向を観察しますが、店頭で断定することはしません。どこまでが観察で判断できる範囲で、どこからが鑑別機関の領域なのかを、査定の際にお伝えしています。

信頼できる鑑別機関の鑑別書がある場合は、記載された石種を重要な確認根拠として扱います。鑑別書がない場合でも査定はできますので、お持ちでないことを理由にためらっていただく必要はありません。

なお、ご自身で石を傷つけて確かめる方法はおすすめしません。判別のために大切な品を損なってしまうと、元に戻せないためです。

関連:天然か加熱かの判別については、別の記事で解説しています

当店の査定では、名前ではなく石そのものを見て評価します

査定の評価要素を示した図。宝石・貴金属・作りを含め、ジュエリー全体として評価することを示す

保証書に「シトリントパーズ」と書かれていても、当店ではその表記だけで評価を決めません。石そのものが何であるかを確認したうえで評価します。名前がシトリンでも、中身がトパーズであれば、トパーズとして評価します。

「シトリンとトパーズはどちらが高いのか」というご質問をいただきます。これは石種だけで決まるものではありません。

当店では、宝石そのものに加えて、貴金属・作りやデザイン・ブランド・状態・鑑別書の内容・再販市場を含め、ジュエリー全体として総合的に査定しています。中石の種類は評価を構成する要素の一つであり、台座の貴金属や作りが総額に関わることもあります。

「シトリンだから安い」「トパーズだから高い」という単純な関係ではない、ということです。

名前が想像と違っていたとしても、その石として、そしてジュエリー全体として評価します。

お手元の石が何なのか、確認してみませんか。

鑑別書がなくても、種類が不明なままでも査定できます。査定料は無料です。

関連:シトリンの査定額がどのように決まるのかは、別の記事で解説しています

11月の誕生石は、トパーズとシトリンの両方です

11月の誕生石を示した図。シトリンとトパーズの両方が11月の誕生石であることを示す

GIAは、トパーズとシトリンの両方を11月の誕生石としています。どちらか一方が正しいわけではありません。

11月生まれの方への贈り物として、どちらも選ばれてきました。2つが同じ月の誕生石として並べて紹介されてきたことも、名前が混同されてきた背景の一つと考えられます。

よくある質問

黄色い石が留められた指輪。呼び名がどうであれ石そのものを見て評価することを示す

Q. 「シトリントパーズ」は偽物ですか。

いいえ。呼び名としてトパーズという語が使われているだけで、石そのものはシトリンです。シトリンは天然の宝石であり、偽物という意味ではありません。

Q. シトリンとトパーズでは、どちらが高く評価されますか。

石種だけでは決まりません。当店では、宝石・貴金属・作りやデザイン・ブランド・状態・鑑別書の内容・再販市場を含めて総合的に査定しています。同じ石種でも、状態や作りによって評価は変わります。

Q. 鑑別書がないと、どちらか判別できませんか。

信頼できる鑑別機関の鑑別書がある場合は、記載された石種を重要な確認根拠として扱います。鑑別書がない場合でも、当店では複数の手がかりを合わせて確認したうえで査定します。ただし店頭で断定はしませんので、確実に知りたい場合は鑑別機関のレポートをご検討ください。

Q. 天然のシトリンは珍しいと聞きました。

GIAは、天然のシトリンは稀少で、市場にあるシトリンの多くはアメシスト(紫水晶)を加熱したものだと説明しています。加熱されたものも本物のシトリンです。

まとめ

「シトリントパーズ」はトパーズではなく、シトリンです。宝石学が発展する前、黄色い石が広くトパーズと呼ばれていた時代の名残が、商品名として残ったものです。

2つは、硬度も、劈開の有無も、黄色が生まれる仕組みも異なる別の鉱物です。ただし色だけで断定できるものではなく、当店でも複数の手がかりを合わせて確認しています。

お手元の品を確認するときは、まず保証書やタグの表記を見て、そこに書かれているのが商品名なのか鉱物名なのかを意識してみてください。そのうえで判断できなければ、そのままお持ちいただいて構いません。

その石が何なのか、まず確認してみませんか。

SHINKAでは、鑑別書がなくても、種類が不明なままでも査定します。査定料は無料で、ご相談だけでもご利用いただけます。ご予約なしでもお越しいただけます。

\ 鑑定士に直接相談してみませんか? /

ご予約はスマホ1つで完了!

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この記事は、GIA G.G.資格保有者が公開前に内容を確認しています。